英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:would(仮定を受けて使われるwould)


007シリーズ『ダイ・アナザー・デイ』(2002年)から。予告編はこちら


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ボンドは北朝鮮に捕らえられ監禁されていましたが、米英の情報部は、ボンドが拷問を受けて機密を漏らしていると考え、捕虜交換によってボンドを北朝鮮から取り戻す手配をします。下のセリフは、北朝鮮と韓国の国境にある橋で捕虜交換が行われ、多くの米英の関係者が見守る中、ボンドが橋を渡って韓国側へとゆっくりと近づいてくる場面のものです。

以下は、大勢に見守られながら近づいてくるボンドを見たアメリカ国家安全保障局のチーフであるファルコが、イギリス側の人間に対して言うセリフです。ファルコは、ボンドが機密を漏らしたせいで、アメリカの情報員が殺されたと考えていて、ボンドのことをよく思っていません。




Look at him. You'd think he was some kind of a hero.

Die Another Day  (00:20:23)


<解説>







Look at him. You'd think he was some kind of a hero.

You は「あなた」ではなく、人一般を指す用法。「あの様子を見たら」あるいは「あの様子を見た人なら」という仮定を受けて、助動詞の過去形である would が使われています。he was と過去形になっているのは、最初に過去形の would が使われていることによる時制の一致で、過去のことを表しているわけではありません。

「some + 可算名詞の単数形」の場合の some は「何らかの」という意味です。

「奴を見てみろ。(事情を知らない人があの様子を見たら)奴のことを何かの英雄かと勘違いしそうだな」


こちらの記事で、ハリーポッターにおける似たような would の使い方を取り上げています。


次の you'd think も同様の使い方です。

I ignore him every time I see him, so you’d think he’d get the message and leave me alone.
(Cambridge Dictionary)

「彼に会うたびに私は彼を無視している。(そう聞いたら普通は)彼は空気を読んで私に構わないようにしてくれると思うでしょ?(でもそうじゃない)」

get the message は「言いたいことを察する」という意味の熟語です。



今回は英英辞典の例文から。



(普通に単語を調べるだけであればオンラインで無料で使えます)


通常、「A and B」という形では、AとBには「動詞と動詞」「名詞と名詞」「文と文」など対等のものが入りますが、例外もあります。

① 



Only a year ago and this would have seemed impossible.  

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


② 


One look at his face and Jenny stopped laughing.

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


解説>









Only a year ago and this would have seemed impossible.

この文においては、Only a year ago and はこれだけで「わずか1年前であったとしても」という意味を表します。そして、この仮定を受けて would が使われています。

「たった1年前であったとしても、このようなことは不可能だと思われただろう」
(この1年で急速に技術が進んだ/事態が進展した、など)

Only a year ago and だけで、仮定法大過去を含む if 節(if S had + 過去分詞)と同等の働きをしていると言えます。仮定法を含む if 節や、それと同等の仮定を受けると、主節には助動詞の過去形が使われます。




One look at his face and Jenny stopped laughing.

One look at his face and だけで、「彼の顔を一目見るなり」という意味を表します。

彼の顔を一目見るなり、ジェニーは笑うのをやめた

One look at ~ and も割とよくある表現です。


ハリーポッター第2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から。


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主人公 Harry の通う魔法学校では、最近「秘密の部屋」にいるモンスターを誰かが部屋から出してしまい、そのために生徒がモンスターに襲われています。

以下は、ある人物が Harry に「『秘密の部屋』を開けた犯人は Ginny Weaseley だ」と告げる場面です。Ginny Weaseley は Harry の親友 Ron の妹で、Harry には Ginny がそのようなことをする人だとはとても思えません。




ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (02:05:49)



<解説>







ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

it と who は強調構文。
「ハリー、『秘密の部屋』を開けたのは (お前の親友 Ron の妹の)Ginny Weaseley だよ」


Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

「彼女には」そして「『秘密の部屋』を開けてしまうようなことは」に含まれる仮定を受けて、助動詞が過去形になっています。過去形が使われていますが、過去のある特定の時点のことを言っているわけではなく、最近も含めた現在の状態を表しています。

「いや、彼女には(『秘密の部屋』を開けることは)できないはずだし、(そもそもそんなことを)しようとするはずがない」



ハリーポッター第2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から。


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以下は、魔法学校で主人公 Harry Potter のチームとライバル関係にあるチームのリーダー的存在である Draco Malfoy のセリフです。Malfoy は、Harry の親友でありチームメイトでもある Ron Weasley と彼の家族の魔法能力を低く見ており、彼らの悪口を言っています。

Harry と Ron が、Malfoy のチームメイトに化けて、Malfoy の悪口の聞き手になっています。pure-blood とは、魔法使いと一般人のハーフではなく、両親ともに魔法使いである人のことです。



You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:22:36)


<解説>







You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave.

the way they behave は通常であれば「彼らの振舞い方」という意味で名詞として働きますが、ここでは「彼らの振舞い方から判断したら」「彼らの振舞い方を見たら」という意味を持ちます。先頭の You は「あなた」ではなく、「人々一般」を表す用法。

You'd はここでは You would の短縮形。will は「もし仮に」という何らかの仮定を受けると would に変わります。主語 You に含まれる仮定、そして「彼らの振舞いを目にしたならば」に含まれる仮定を受けて would が使われています。

the Weasleys とは「Weasley 家の人々」という意味。

the Weasleys were と be動詞の過去形が使われているのは、いわゆる「時制の一致」。You'd と先頭で過去形が使われた時点で「過去形の世界」に入り込んでいて、その後の動詞も過去形になっています。


You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

「もし何も知らない人が Weasley 家の奴らの(魔法使いらしくない不器用な)振舞いを見たら、あいつらが純血種の魔法使いの家系だとは到底気づかないな。奴らは魔法使い界の恥さらしだ。一人残らずな」


再び『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)から。予告編はこちら





以下は、遂行するべき任務を主人公 Ethan に指示する録音されたメッセージの一部です。would の役割を考えてみてください。



Normally, you and your team would be tasked with infiltrating and disrupting this terrorist network. But we have taken steps to ensure that this will not happen, because...

Mission Impossible: Rogue Nation  (00:08:31)


<解説>







Normally, you and your team would be tasked with infiltrating and disrupting this terrorist network. But we have taken steps to ensure that this will not happen, because...


Normally に含まれる「通常であれば」という仮定を受けて 助動詞の過去形 would が使われています。would のところまで見た時点で、文全体は「通常であれば、君と君のチームは~するところだ」という意味になることが分かるため、その時点で、後ろに but(しかし今回は) が続くことも同時に予想できます。

this terrorist network は disrupting だけでなく、infiltrating の目的語も兼ねています。

通常であれば、君と君のチームは、このテロリストネットワークに潜入し、それを崩壊させる任務を与えられるところだ。しかし我々は、そうならないように手を打った。というのは…」

本来は任務を指示するためのメッセージなのに変な内容で、聞いている Ethan
は怪訝な顔をします。

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