英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:sufficientlyとenough


Parker's Wine Bargains(邦題『ワインの帝王ロバート・パーカーが薦める世界のベスト・バリューワイン』)(2009年)から。





ドイツでは、収穫されたブドウの糖分が一定の基準を満たすと、そのブドウで造られたワインのラベルには 
Prädikat と呼ばれる公的な「お墨付き」を表示できるそうですが、一方で、Prädikat は必ずしもワインの品質を表さないなど、問題もあるそうです以下は、この Prädikat というお墨付きについての一節です。

become disenchanted with ~ で「~に嫌気がさす」。the legal framework は Prädikat に関する法的な仕組みを指しています。



Growers have become sufficiently disenchanted with the legal framework that nowadays many sell even their best wines without any Prädikat on the label.  

Parker's Wine Bargains: The World's Best Wine Values Under $25, p. 277


解説>







Growers have become sufficiently disenchanted with the legal framework that many sell even their best wines without any
Prädikat on the label.

sufficiently は that節を伴うことがあります。その場合、「sufficiently + that S V」で「SがVするのに十分なほどに」。many はここでは「多くの生産者」を表す名詞です。

「生産者たちは(Prädikat に関する)法的な仕組みに嫌気がさし、今日では彼らの多くが(自身のワイナリーの)最高級のワインでさえ、ラベルに Prädikat の表示をせずに売るようになっている」


ワインに関する多彩な情報を掲載しているウェブサイト VIOUS: Explore All Things Wine から。





以下は、ドイツで2018年初頭に雨が多かったことを受けての記述です。vine は「ブドウの木」。



That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed, because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.  

https://vinous.com/articles/germany-2018-the-nahe-leading-by-a-nose-jun-2020


解説>







That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed,

「be + to不定詞」は、事前に決められていたことを表すのによく使われますが、この was to ~ は「~することになるのだった」という意味で、実際には後からしか分かり得なかったことを、物語やドキュメンタリーなどのナレーターの視点から読み手/聞き手に伝える用法です。

prove C で「Cであると判明する」、in view of ~ で「~を考慮すると」。


「後のことを考えると、この雨の多さは非常に大きな恵みだった」


because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.

to last ~ は「~するために」という目的を表す不定詞ではなく、enough と関連する不定詞。enough は不定詞を伴って「~するのに十分」という意味を表します。

この last は「(ある一定の期間)Oをもたせる」という他動詞の用法です。

「というのは、昔から乾燥しがちな土地においてさえ、ブドウが成長する間ほとんどのブドウの木をもたせるのに十分な水が地下に蓄積されたからである」


引き続きワインの百科事典、『The Oxford Companion to Wine 』より。





以下は、前回の文(ジンファンデルというブドウの品種とプリミティーヴォという品種は実は同一のものだったことを述べる文)のすぐ後に続く1文です。that 以下の部分の役割に特に注意して読んでみてください。

ジンファンデルとプリミティーヴォ
は同じものですが、ジンファンデルはアメリカでの呼び名、プリミティーヴォはイタリアでの呼び名です。文頭の the relationship とは「ジンファンデルとプリミティーヴォの関係」つまり「その2品種の同一性」のことです。




The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

The Oxford Companion to Wine, p. 792



解説>







The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

sufficiently は「十分に」という意味ですが、「何がどうするのに十分なのか」を that節で表すことがあり、in the 1980s の後ろの that節はこの用法です。enough にもこの用法があります。


some were exporting their Primitivo labelled, ~ , Zinfandel

は、labelled, ~ , Zinfandel の部分をCとする第5文型(VOC)。この場合の第5文型は「OをCの状態でVする」で、「一部のイタリア人は、自分たちが作ったプリミティーヴォのワインを、ジンファンデルとラベルに書かれた状態で輸出していた」



The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

ジンファンデルとプリミティーヴォが同一の品種であることは、1980年代にはすでにイタリア人の間ではそれなりに知られていた。このため一部のイタリア人は、アメリカ市場に訴求するため、自分たちが作ったプリミティーヴォのワインを、(アメリカでの呼び名である)ジンファンデルという名前で輸出していた」


冒頭部分で過去完了が使われているのは、一部のイタリア人がプリミティーヴォをジンファンデルという名前で輸出していた「背景」を説明しているためです。



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