英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

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オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』から。


The Picture of Dorian Gray (Penguin Classics)
Wilde, Oscar
Penguin Classics
2003-02-01



ドリアンが婚約者に冷酷な仕打ちをした夜、自宅に戻った彼は、自室に置いてある自分の肖像画の美しい口元に冷たい影が生じているのに気づきます。ドリアンは恐れを抱きながらも、自分の心と肖像画の絵の具の間に何らかのつながりがあるのではないかと興味を持ちます。以下は、そのときにドリアンが考えたことを伝える文です。

that soul は「ドリアンの心」、they は「肖像画の絵の具を構成する物質」を指しています。




Could it be that what that soul thought, they realized? - that what it dreamed, they made true?  

Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray, p. 93


解説>







Could it be that what that soul thought, they realized? - that what it dreamed, they made true?

Could it be that S V? で「SVということなのだろうか?」。it は状況を指しているとも言えます。

what that soul thought, they realized は OSV、

what it dreamed, they made true は OSVC という語順の倒置文です。realized、dreamed と過去形になっているのは、先頭に Could が使われていることによる時制の一致と捉えるとよいでしょう。

realize はここでは「気づく」ではなく「具現化する」という意味です。


「自分の心が思うことをそれらが具現化するのだろうか。自分の心が夢見ることをそれらが実現するのだろうか」


ハリーポッター第2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から。


ハリー・ポッターと秘密の部屋 [WB COLLECTION] [Blu-ray]
ダニエル・ラドクリフ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2018-03-17



主人公 Harry の通う魔法学校では、最近「秘密の部屋」にいるモンスターを誰かが部屋から出してしまい、そのために生徒がモンスターに襲われています。

以下は、ある人物が Harry に「『秘密の部屋』を開けた犯人は Ginny Weaseley だ」と告げる場面です。Ginny Weaseley は Harry の親友 Ron の妹で、Harry には Ginny がそのようなことをする人だとはとても思えません。




ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (02:05:49)



<解説>







ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

it と who は強調構文。
「ハリー、『秘密の部屋』を開けたのは (お前の親友 Ron の妹の)Ginny Weaseley だよ」


Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

「彼女には」そして「『秘密の部屋』を開けてしまうようなことは」に含まれる仮定を受けて、助動詞が過去形になっています。過去形が使われていますが、過去のある特定の時点のことを言っているわけではなく、最近も含めた現在の状態を表しています。

「いや、彼女には(『秘密の部屋』を開けることは)できないはずだし、(そもそもそんなことを)しようとするはずがない」


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