英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:be+to不定詞


ワインに関する多彩な情報を掲載しているウェブサイト VIOUS: Explore All Things Wine から。





以下は、ドイツで2018年初頭に雨が多かったことを受けての記述です。vine は「ブドウの木」。



That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed, because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.  

https://vinous.com/articles/germany-2018-the-nahe-leading-by-a-nose-jun-2020


解説>







That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed,

「be + to不定詞」は、事前に決められていたことを表すのによく使われますが、この was to ~ は「~することになるのだった」という意味で、実際には後からしか分かり得なかったことを、物語やドキュメンタリーなどのナレーターの視点から読み手/聞き手に伝える用法です。

prove C で「Cであると判明する」、in view of ~ で「~を考慮すると」。


「後のことを考えると、この雨の多さは非常に大きな恵みだった」


because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.

to last ~ は「~するために」という目的を表す不定詞ではなく、enough と関連する不定詞。enough は不定詞を伴って「~するのに十分」という意味を表します。

この last は「(ある一定の期間)Oをもたせる」という他動詞の用法です。

「というのは、昔から乾燥しがちな土地においてさえ、ブドウが成長する間ほとんどのブドウの木をもたせるのに十分な水が地下に蓄積されたからである」


今回は英英辞典から「be + to不定詞」を含む例文を紹介します。



(普通に単語を調べるだけであればオンラインで無料で使えます)


① 



She was to be here at 8.30 but she didn't arrive.  

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


② 


He was to regret that decision for the rest of his life.

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


解説>









She was to be here at 8.30 but she didn't arrive.

この「be + to不定詞」は「~することになっている」という一般的な使い方。事前に決められていたことを表しています。

「彼女は8:30にここに来ることになっていたが、来なかった」




He was to regret that decision for the rest of his life.

①と同じ was to ~ が使われていますが、こちらは少し違う意味で、事前に決められていたことを表しているわけではありません。実際には後からしか分かり得ないことを、物語などのナレーターの視点から読み手/聞き手に伝える用法です。

「彼は、その決断を一生後悔することになるのだった」



今回は、007シリーズ『ゴールデンアイ』から。予告編はこちら


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以下は、英国諜報部の本部に到着した007に対して、秘書であるマネーペニーが言うセリフです。Mは諜報部のトップ、Situation Room は様々な機器を使って状況を分析するための部屋のことです。




M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

GoldenEye  (00:35:02)


<解説>







M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

「be + to不定詞」は、ここでは「~することになっている」「~するように指示されている」というニュアンスで、自分がMから受けている指示の内容を伝えています。

take O in で「Oを部屋や建物の中に連れていく」。straight はここでは「どこかに立ち寄ったりせずに、このまま直接」という意味です。

「Mはシチュエーションルームでお会いになります。あなたをすぐに案内するように言われています



イギリスのスパイ小説作家ジョンカレ原作の映画『Tinker Tailor Soldier Spy』(邦題『裏切りのサーカス』)から。冷戦時のイギリスとソ連の諜報戦を扱った映画です。予告編はこちら


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英国諜報部に勤務する Connie は、在英ソ連大使館員の Polyakov がイギリスでスパイ活動を行っていると確信し、有力な証拠とともに、そのことを上層部に報告します。しかし、報告を受けた上司は冷たい態度で Connie の訴えを退けます。以下は、そのときの上司の Connie に対するセリフです。

『裏切りのサーカス』は、5人いる上層部のうちの1人がソ連側に通じていることを、引退した諜報部員が暴き出していく物語です。




You're to leave Polyakov alone. You're becoming obsessed with him. You're losing a sense of proportion.

Tinker Tailor Soldier Spy  (00:31:47)



<解説>







You're to leave Polyakov alone. You're becoming obsessed with him. You're losing a sense of proportion.

「be + to不定詞」は予定を表すのに使われたりしますが、主語を you にして使うと、指示や命令にもなり得ます。上の文では命令。命令の場合、相手のこれからすることを淡々と伝える感じで、もう全てが決定しているかのような、有無を言わさないニュアンスです。

a sense of proportion は「物事に対処する上でのバランス感覚」といった意味。lose a sense of proportion で「物事に対処する上でのバランス感覚を失う」つまり「客観的に考えれば本当はそれほど大事なことではないのに、そのことで思い詰めてしまう」という意味です。

ポリヤコフのことは放っておくんだ。君は彼にこだわりすぎだな。大袈裟に考えているんだ」


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