英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:前置詞としてのonとoff


映画『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(2018年)から。





主人公イーサンはある場所に潜入するために、相棒と共にパラシュートと酸素ボンベをつけて飛行機から飛び降りることになりますが、飛び降りる寸前になっても相棒が酸素ボンベをきちんと使えていないことに気づきます。以下は、相棒の酸素ボンベを直しながらイーサンが言うセリフです。



Is your oxygen on? There is no atmosphere at this altitude. I don't need you blacking out on me.

Mission: Impossible - Fallout (00:22:06)


解説>







Is your oxygen on? There is no atmosphere at this altitude.

この on は、電気器具などのオンオフと同じ使い方です。

「酸素ボンベの酸素はオンになっているのか(ちゃんと供給が開始されているのか)? この高度では(呼吸に必要なだけの)空気がないんだ」


I don't need you blacking out on me.

not need O ~ing は第5文型(VOC)で「Oが~している状態を必要としていない」「Oに~してもらう必要はない」が基本の意味ですが、皮肉の意味で「Oに~してもらっては困る」「Oに~して欲しくない」という意味になることがよくあります。black out は「気を失う」という意味の句動詞。

この on は前置詞で、直訳は難しいのですが強いて日本語にすれば、on ~ で「~を困らせるような形で」「~にダメージを与える形で」などとなります。

「君に(空中で酸素不足で)気を失ってもらっては困る」


この用法の on は口語でよく使われますが、なぜか載っている辞書は多くないようです。

以下は
Cambridge Dictionary から。
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/on

The phone suddenly went dead on me.
「(私にとって困ったことに)急に電話が不通になった」

Their car broke down on them on the way home.
(彼らにとって困ったことに)帰る途中で車が故障した


再び『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)から。予告編はこちら





主人公 Ethan はロンドンの支部で連絡員と会ったところで敵に捕らわれますが、その後脱出して、本部にいる仲間の Brandt に連絡を取ります。以下は、Ethan が Brandt に「ロンドンの支部が襲われた」と伝えた後に続く2人の会話です。



Brandt: Do you have anything to go on?

Ethan: A face.

Mission Impossible: Rogue Nation  (00:18:15)


<解説>







Brandt: Do you have anything to go on?


直訳すると「君は go on するための何かを持っているか?」。go on には「続ける」という意味もありますが、ここではその使い方ではありません。

on はここでは副詞ではなく前置詞で、on と anything の間には、「前置詞」と「前置詞の目的語」の関係が隠れています。go on ~ は句動詞として辞書にも載っていて、Oxford Advanced Learner's Dictionary では、

"to base an opinion or a judgement on sth"
(「意見や判断を~に基づかせる」つまり「~を判断材料にする」)


という定義になっています(sth は英英辞典で something を表します)。前置詞の on には「~に基づいて」という意味があるので、「~に基づいて進む」が go on ~ の基本の意味。上のセリフは「これから捜査していくにあたって判断材料にするものは持っているのか?」つまり「手がかりはあるのか?」という意味になります。


Ethan: A face.

「顔だ」ということですが、「名前などは分からないが、敵の顔は見た」という意味のセリフです。

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