英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:分詞構文(as_S_Vを伴う)


イギリスの文学批評家、文化理論家テリー・イーグルトンによる On Evil(2010年)から。


On Evil (English Edition)
Eagleton, Terry
Yale University Press
2010-04-06






以下は、トーマス・マンの小説『ファウスト博士』の主人公である作曲家が作った曲について、著者イーグルトンが書いた一節です。virtuosity は「極めて高度な技法」、a vein of ~ で「ある量の~」、diabolical は「悪魔的な」



There is something inhuman about this music's very virtuosity, marked as it is by a vein of "diabolical cleverness."

Terry Eagleton, On Evil, p. 60



<解説>







There is something inhuman about this music's very virtuosity, marked as it is by a vein of "diabolical cleverness."

marked 以下は分詞構文。
marked by ~ で「~によって特徴づけられている」という意味で、次のように as it is が挿入されています。この as S V は前回の記事で紹介したものと同じ使い方です。

marked (as it is) by a vein of "diabolical cleverness"

as it is は「実際にそうされているように」が直訳ですが、前回と同様、やはり自然に訳すのは困難です。


「この曲は『悪魔的巧みさ』を呈しており
、その極めて高度な作曲技法自体に何か人間的なものを超越した雰囲気がある」


イギリスの文学批評家、文化理論家テリー・イーグルトンによる On Evil(2010年)から。


On Evil (English Edition)
Eagleton, Terry
Yale University Press
2010-04-06






以下は、シェイクスピアの劇『オセロ』の登場人物イアーゴについての文章の一部です。cynic は「シニカルな人」、clown は「道化師」、debunk と deflate はここでは「
人々の虚飾を風刺する」といった意味です。



Iago, like many a Shakespearian cynic, is partly a clown, reveling as he does in debunking and deflating.

Terry Eagleton, On Evil, p. 86



<解説>







Iago, like many a Shakespearian cynic, is partly a clown, reveling as he does in debunking and deflating.

many a ~ で「多くの~」。reveling 以下は分詞構文。
revel in ~ で「愉悦に浸って~を楽しむ」という意味で、次のように as he does が挿入されています。

reveling (as he does) in debunking and deflating

as he does は「実際に彼がするように」が直訳で、強いて言えば「劇中で見ての通り」に近い意味になります。分詞構文の中に as S V が挿入されることは割と頻繫にありますが、訳すのは難しい場合がほとんどです。


「イアーゴは(劇中で見ての通り)人々の虚飾を風刺することにこの上ない愉悦を覚える。この点でイアーゴは、シェイクスピアの劇に登場する多くのシニカルな人物と同様、道化師としての性質も持っている」

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