英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

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*この記事は一番上に固定しています。

ハリーポッター第2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から。


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主人公 Harry の通う魔法学校では、昔「秘密の部屋」にいるモンスターを誰かが部屋から出してしまい、そのために生徒がモンスターに殺されてしまうという事件が起きています。そして今、モンスターを「秘密の部屋」から出してしまったのは、Harry の友人でもあり、魔法学校の森の番人でもある Hagrid ではないかという見方が広がっています。

以下は、その事件についての Harry のセリフ。聞き手はHarryの親友の Ron です。Harry はある理由から、「秘密の部屋」を見つけ出して、その中を調べなければならないと考えています。I can't believe it's him の it は「モンスターを『秘密の部屋』から出した犯人」、him とは Hagrid のことです。



I can't believe it's him, but if he did set the monster loose last time, he'll know how to get inside the Chamber of Secrets.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:37:22)



<解説>







I can't believe it's him, but if he did set the monster loose last time, he'll know how to get inside the Chamber of Secrets.

if 節の中に過去形が使われていますが仮定法ではなく、実際に過去の時制を表しています。did は強調の do の過去形。「もし彼が~したのが事実なら」

set O loose で「Oを loose にする」つまり「Oを解き放つ」。set O loose は make O C(OをCの状態にする)と同じ第5文型(VOC)です。

he'll know ~ の will は、未来を表す通常の will ではなく、「現在の事柄についての推量」を表す用法です。


I can't believe it's him, but if he did set the monster loose last time, he'll know how to get inside the Chamber of Secrets.

「犯人が Hagrid だとは信じられないけれど、
もし前の事件のときに彼がモンスターを解き放ったのが事実なら、彼は『秘密の部屋』への入り方を知っているはずだ」


ハリーポッター第2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から。


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主人公 Harry の通う魔法学校では、最近「秘密の部屋」にいるモンスターを誰かが部屋から出してしまい、そのために生徒がモンスターに襲われています。

以下は、ある人物が Harry に「『秘密の部屋』を開けた犯人は Ginny Weaseley だ」と告げる場面です。Ginny Weaseley は Harry の親友 Ron の妹で、Harry には Ginny がそのようなことをする人だとはとても思えません。




ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (02:05:49)



<解説>







ある人物:Harry, it was Ginny Weaseley who opened the Camber of Secrets.

it と who は強調構文。
「ハリー、『秘密の部屋』を開けたのは (お前の親友 Ron の妹の)Ginny Weaseley だよ」


Harry:No. She couldn't. She wouldn't.

「彼女には」そして「『秘密の部屋』を開けてしまうようなことは」に含まれる仮定を受けて、助動詞が過去形になっています。過去形が使われていますが、過去のある特定の時点のことを言っているわけではなく、最近も含めた現在の状態を表しています。

「いや、彼女には(『秘密の部屋』を開けることは)できないはずだし、(そもそもそんなことを)しようとするはずがない」



再びハリーポッター第2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から。


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主人公 Harry の通う魔法学校では、直接目を合わせるだけで殺されてしまうというモンスターが出没していました。そのモンスターの正体を突き止めようとしていたある女の子が、ある日、石のように固まった状態で見つかります。彼女は鏡を握りしめていました。以下は、なぜ彼女が手に鏡を持っていたのかについて、主人公 Harry が親友の Ron に対して言うセリフです。



I bet you anything she was using it to look around corners in case it came along.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:52:51)



<解説>







I bet you anything she was using it to look around corners in case it came along.


一見 anything と she の間は関係代名詞の省略のように見えるかもしれませんが、she was ~ の部分は完全な文になっているので、これは関係代名詞の節ではありません。

V O O (that) S V という珍しい形ですが、bet という動詞はこの形を取ることができ、Oxford Advanced Learner's Dictionary では、

She bet me £20 that I wouldn't do it.
(彼女は私を相手に、「私がそれをしない」ほうに20ポンド賭けた)

という例文が載っています。

上のセリフは、

「『彼女は、モンスターが曲がり角の向こうからやって来る場合に備えて、(モンスターと鉢合わせしないように、自分の体を晒さずに)曲がり角の先を見るために鏡を使っていた』ということに、僕は君に対して何を賭けてもいい」

つまり、

「『彼女は、モンスターが曲がり角の向こうからやって来る場合に備えて、(モンスターと鉢合わせしないように、自分の体を晒さずに曲がり角の先を見るために鏡を使っていた』ということに、僕は100パーセント確信がある」

という意味になります。



再びハリーポッター第2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から。


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以下は、前回と同様、魔法学校で主人公 Harry Potter のチームとライバル関係にあるチームのリーダー的存在である Draco Malfoy のセリフです。50年前に「秘密の部屋」のドアが開けられたことに関して、Draco の父親が Draco に語ったことについてのセリフで、文頭の He は Draco の父親を指しています。

主人公 Harry と彼の親友 Ron が、Draco のチームメイトに化けて、Draco の話の聞き手になっています。



He wouldn't tell me who opened it. Only that they were expelled.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:24:08)



<解説>







He wouldn't tell me who opened it. Only that they were expelled.

would は様々な意味で使われますが、wouldn't には「過去のある時点における拒否の意思」を表す用法があり、上の wouldn't はこの使い方です。

「父上は、誰が秘密の部屋のドアを開けたのかは俺に教えてくれようとはしなかった。開けた人物が追放されたということだけ教えてくれた」

この would の使い方は否定文でのみ可能です。肯定文で主節の動詞に would を使って「過去の特定の1つの時点における意思」を表すことはできません。



ハリーポッター第2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から。


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以下は、魔法学校で主人公 Harry Potter のチームとライバル関係にあるチームのリーダー的存在である Draco Malfoy のセリフです。Malfoy は、Harry の親友でありチームメイトでもある Ron Weasley と彼の家族の魔法能力を低く見ており、彼らの悪口を言っています。

Harry と Ron が、Malfoy のチームメイトに化けて、Malfoy の悪口の聞き手になっています。pure-blood とは、魔法使いと一般人のハーフではなく、両親ともに魔法使いである人のことです。



You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:22:36)


<解説>







You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave.

the way they behave は通常であれば「彼らの振舞い方」という意味で名詞として働きますが、ここでは「彼らの振舞い方から判断したら」「彼らの振舞い方を見たら」という意味を持ちます。先頭の You は「あなた」ではなく、「人々一般」を表す用法。

You'd はここでは You would の短縮形。will は「もし仮に」という何らかの仮定を受けると would に変わります。主語 You に含まれる仮定、そして「彼らの振舞いを目にしたならば」に含まれる仮定を受けて would が使われています。

the Weasleys とは「Weasley 家の人々」という意味。

the Weasleys were と be動詞の過去形が使われているのは、いわゆる「時制の一致」。You'd と先頭で過去形が使われた時点で「過去形の世界」に入り込んでいて、その後の動詞も過去形になっています。


You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

「もし何も知らない人が Weasley 家の奴らの(魔法使いらしくない不器用な)振舞いを見たら、あいつらが純血種の魔法使いの家系だとは到底気づかないな。奴らは魔法使い界の恥さらしだ。一人残らずな」

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