英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

タグ:ウェイン・ルーニー


イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



以下は、選手として有名になると、外出した際にどうしても注目されてしまうことについて述べる文章です。



One afternoon, [...] I go to the garage to fill the car up. As I put the petrol in, a bloke pulls up next to me and winds his window down.
  'Here, Wayne, you fill up your own car yourself, do you?'
  Like anyone else is going to do it.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 45
(斜体と最後の2文のインデントは原文の通りです)



<解説>







One afternoon, [...] I go to the garage to fill the car up. As I put the petrol in, a bloke pulls up next to me and winds his window down.

現在形の動詞が使われていますが、述べられているのは過去のことです。これは「the historic present」と呼ばれる現在形の使い方で、臨場感を出したいときなどには、過去の一連の出来事を現在形で説明することがあります。

the garage は、「自分がいつも行く近所のガソリンスタンド」のこと。自分が普段の買い物をするスーパーなどには、たとえ聞き手がその店を知らなくても the shop のように the を付けます。the garage の the も同じ用法です。

また、冷蔵庫など、どの家にもだいたい1台あるような「家の備品」にも the が付けられます。the car の the も同じ用法で、「自分の家の車」のことです。


「ある日の午後、家の車にガソリンを入れようと、いつものガソリンスタンドに行った。ガソリンを入れていたら、男が私の隣に車を止めて窓を下ろした」



'Here, Wayne, you fill up your own car yourself, do you?'

中学校で習う付加疑問文では、

You fill up your own car yourself, don't you?
You don't fill up your own car yourself, do you?

のように前後で肯定と否定が逆になっていますが、
ここではどちらも肯定になっています。このような付加疑問文('same way' question tags)も実際にはよくあり、『Practical English Usage』では、



「興味、驚き、心配などのリアクションを表すのに使われる (p. 472)」と説明されています。


'Here, Wayne, you fill up your own car yourself, do you?'

「ウェインじゃないか。君は自らガソリンを入れるのか!?」



Like anyone else is going to do it.

この like は as if の意味です。

直訳すると「まるで誰か他の人が私の車にガソリンを入れてくれるかのようだ」となるこの文は、「誰か他の人が私の車にガソリンを入れてくれるわけはない(だから、当然、私が自分でやるに決まっている)」という意味になります。



イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



以下は、「自分はとにかく負けるのが異常なほどに嫌いだ」という文の後に続く文章です。the goals は「試合中に自分が決めたゴール」、United はルーニーが所属するチーム「マンチェスターユナイテッド」のことです。



Unless I walked off the pitch a winner, the goals are pointless. If United lose, I'm not interested in how many I've scored.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 19




<解説>







Unless I walked off the pitch a winner, the goals are pointless. If United lose, I'm not interested in how many I've scored.

分詞だけでなく名詞も分詞構文として働くことができ、a winner はこの用法です。off はここでは前置詞で、from とほぼ同じ意味です。

「勝者としてピッチを去るのでなければ、自分が決めたゴールには意味がない。(自分のチームである)ユナイテッドが負けるなら、(その試合で)自分が何点ゴールを決めたかに興味はない」

If United loses ではなく if United lose となっているのは United が複数扱いになっているからです。イギリス英語では、団体を表す名詞は、たとえ単数形でも、個々の構成員の集合体として考えている場合には複数扱いになります。

how many I've scored で現在完了が使われているのは、試合終了またはその直後の時点に自分を置き、その試合で累計で何点ゴールを決めたかを考えているからです。




イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



ルーニーは試合で怒って物に当たり散らしたりする姿がよく取り上げられるため、普段も暴力的な人間なのではないかと思われてしまうそうで、以下は、近所のスーパーで奥さんと子供と普通に買い物をしていると、周りにいる客に驚かれてしまうことを嘆いている文章です。

文頭の they は、周りにいる買い物客のことです。kit は「装備一式」、shinpads は「すね当て」、in a massive strop は「激怒して当たり散らして」。



[...] they stare at me with their jaws open, like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.
  These are much cheaper down the road!
  I'm not like that though.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 30
(斜体と最後の2行の改行は原文の通りです)



<解説>







they stare at me with their jaws open の with は付帯状況の with。

「周りの人は驚いて口を開けて私を見つめる」


like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.

like はここでは as if と同じです。

should には「べき」と「はず」の2つの意味がありますが、ここでは無理にどちらかに決める必要はないと思います。

my kit, shinpads and boots の and が何を結んでいるかですが、shinpads(すね当て)と boots(スパイク)は kit(装備一式)に含まれることも踏まえて、3つを並列しているのではなく、shinpads と boots の2つを並列していると捉えるとよいでしょう。こちらの記事も参考になるかもしれません。

be in my kit, shinpads and boots は、「試合をするときの装備で、それも、すね当てとスパイクを含めたフル装備で」。

arguing ~ と kicking ~ は分詞構文です。


like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.

試合をするときの格好で、それも、すね当てとスパイクまで含めたフル装備で、カートを回収している店員と口論していたり、積み上げられたトイレットペーパーを激怒して蹴り崩したりしているのが、まるで私の本来の姿であるかのように(周りの客は、ごく普通におとなしく買い物をしている私を驚いて見つめる)


These are much cheaper down the road! はトイレットペーパーを蹴りながら言う想像上のセリフ。 down the road は「同じ通りのもっと先(にある店)では」という意味です。

「向こうの店ではトイレットペーパーをもっとずっと安く売っているじゃないか!」


I'm not like that though. は「でも、私はそんな人ではない」。

この後に、「自分は初対面では、もの静かで shy だ」という文が続きます。



イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



以下は、「まだまだチームの優勝のために頑張りたい」という文章の後に続く文です。also-ran とは「敗者」の意味です。



And whatever I do, I do it to be the best that I can. I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 18



<解説>







And whatever I do, I do it to be the best that I can. I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

And whatever I do, I do it to be the best that I can の can の後には be が省略されています。

「そして私が何をするにしても、私はそれを、自分がなることのできる最高の選手になるためにする」

第2文の最後の will は未来を表すのではなく、前回と同様「現在の事柄についての推量」を表す用法です。

I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

「私と一緒にプレイしたことのある人なら誰でも知っているはずだが、私は敗者であることに甘んじることのできる性格ではない」


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