英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

カテゴリ: 映画


007シリーズ『ダイ・アナザー・デイ』(2002年)から。予告編はこちら


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ボンドは北朝鮮に捕らえられ長く監禁されていましたが、米英の情報部は捕虜交換によってボンドを北朝鮮から取り戻します。北朝鮮による監禁中の場面では、ボンドが暴行を受けるだけでなく、生きたサソリを顔に近づけられたりする様子も写っています。

イギリスに帰国後、ボンドは全身の精密検査を受け、その結果、医師グループはボンドの体内にサソリの毒と、その毒を中和する解毒剤が存在していることを発見します

以下は、このことを最初に発見した医師が、同席している別の医師にサソリの毒と解毒剤の存在を伝えた後に、その医師に対して言うセリフです。antidote は「解毒剤」。




They'd sting him, then administer the antidote.

Die Another Day  (00:21:07)


<解説>







They'd sting him, then administer the antidote.

They はボンドに暴行を加えた人間のことを指しています。誰のことを言っているのかが状況から分かるときには、具体的な名詞を事前に出すことなく、いきなり they を使うことができます。

They'd は They would の短縮形。この would は「過去の習慣」の用法で、過去において習慣的に繰り返されたことを表します。

「彼らはボンドにサソリの針を刺し、その後に解毒剤を処方するということを繰り返したのだ」



007シリーズ『ダイ・アナザー・デイ』(2002年)から。予告編はこちら


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ボンドは北朝鮮に捕らえられ監禁されていましたが、米英の情報部は、ボンドが拷問を受けて機密を漏らしていると考え、捕虜交換によってボンドを北朝鮮から取り戻す手配をします。下のセリフは、北朝鮮と韓国の国境にある橋で捕虜交換が行われ、多くの米英の関係者が見守る中、ボンドが橋を渡って韓国側へとゆっくりと近づいてくる場面のものです。

以下は、大勢に見守られながら近づいてくるボンドを見たアメリカ国家安全保障局のチーフであるファルコが、イギリス側の人間に対して言うセリフです。ファルコは、ボンドが機密を漏らしたせいで、アメリカの情報員が殺されたと考えていて、ボンドのことをよく思っていません。




Look at him. You'd think he was some kind of a hero.

Die Another Day  (00:20:23)


<解説>







Look at him. You'd think he was some kind of a hero.

You は「あなた」ではなく、人一般を指す用法。「あの様子を見たら」あるいは「あの様子を見た人なら」という仮定を受けて、助動詞の過去形である would が使われています。he was と過去形になっているのは、最初に過去形の would が使われていることによる時制の一致で、過去のことを表しているわけではありません。

「some + 可算名詞の単数形」の場合の some は「何らかの」という意味です。

「奴を見てみろ。(事情を知らない人があの様子を見たら)奴のことを何かの英雄かと勘違いしそうだな」


こちらの記事で、ハリーポッターにおける似たような would の使い方を取り上げています。


次の you'd think も同様の使い方です。

I ignore him every time I see him, so you’d think he’d get the message and leave me alone.
(Cambridge Dictionary)

「彼に会うたびに私は彼を無視している。(そう聞いたら普通は)彼は空気を読んで私に構わないようにしてくれると思うでしょ?(でもそうじゃない)」

get the message は「言いたいことを察する」という意味の熟語です。



007シリーズ『ゴールデンアイ』から。予告編はこちら


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ボンドは事件の黒幕の正体を探るにあたって、黒幕についての情報を持っているとされる Valentine という人物に接触を試みます。以下は、Valentine の居場所にボンドを車で案内する人物が、目的地に到着した際にボンドに対して言うセリフです。




Valentine operates out of building 23 there.

GoldenEye  (00:55:47)


<解説>







Valentine operates out of building 23 there.

out of ~ は通常「~の中から外へ」を表しますが、operate out of ~ は「~を拠点として活動している」という意味で使われます。

Valentine はそこにある23号棟の建物を拠点にしている

この用法の out of は TOEIC の公式本で見かけたことがあるので、受験される方は覚えておくとよいかもしれません。似た意味で使われるものに be based out of ~ もあります。



今回は、007シリーズ『ゴールデンアイ』から。予告編はこちら


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以下は、英国諜報部の本部に到着した007に対して、秘書であるマネーペニーが言うセリフです。Mは諜報部のトップ、Situation Room は様々な機器を使って状況を分析するための部屋のことです。




M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

GoldenEye  (00:35:02)


<解説>







M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

「be + to不定詞」は、ここでは「~することになっている」「~するように指示されている」というニュアンスで、自分がMから受けている指示の内容を伝えています。

take O in で「Oを部屋や建物の中に連れていく」。straight はここでは「どこかに立ち寄ったりせずに、このまま直接」という意味です。

「Mはシチュエーションルームでお会いになります。あなたをすぐに案内するように言われています



イギリスのスパイ小説作家ジョンカレ原作の映画『Tinker Tailor Soldier Spy』(邦題『裏切りのサーカス』)から。冷戦時のイギリスとソ連の諜報戦を扱った映画です。予告編はこちら


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英国諜報部に勤務する Connie は、在英ソ連大使館員の Polyakov がイギリスでスパイ活動を行っていると確信し、有力な証拠とともに、そのことを上層部に報告します。しかし、報告を受けた上司は冷たい態度で Connie の訴えを退けます。以下は、そのときの上司の Connie に対するセリフです。

『裏切りのサーカス』は、5人いる上層部のうちの1人がソ連側に通じていることを、引退した諜報部員が暴き出していく物語です。




You're to leave Polyakov alone. You're becoming obsessed with him. You're losing a sense of proportion.

Tinker Tailor Soldier Spy  (00:31:47)



<解説>







You're to leave Polyakov alone. You're becoming obsessed with him. You're losing a sense of proportion.

「be + to不定詞」は予定を表すのに使われたりしますが、主語を you にして使うと、指示や命令にもなり得ます。上の文では命令。命令の場合、相手のこれからすることを淡々と伝える感じで、もう全てが決定しているかのような、有無を言わさないニュアンスです。

a sense of proportion は「物事に対処する上でのバランス感覚」といった意味。lose a sense of proportion で「物事に対処する上でのバランス感覚を失う」つまり「客観的に考えれば本当はそれほど大事なことではないのに、そのことで思い詰めてしまう」という意味です。

ポリヤコフのことは放っておくんだ。君は彼にこだわりすぎだな。大袈裟に考えているんだ」


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