イギリスの文学批評家、文化理論家テリー・イーグルトンによる On Evil(2010年)から。


On Evil (English Edition)
Eagleton, Terry
Yale University Press
2010-04-06






以下は、トーマス・マンの小説『ファウスト博士』の主人公である作曲家が作った曲について、著者イーグルトンが書いた一節です。virtuosity は「極めて高度な技法」、a vein of ~ で「ある量の~」、diabolical は「悪魔的な」



There is something inhuman about this music's very virtuosity, marked as it is by a vein of "diabolical cleverness."

Terry Eagleton, On Evil, p. 60



<解説>







There is something inhuman about this music's very virtuosity, marked as it is by a vein of "diabolical cleverness."

marked 以下は分詞構文。
marked by ~ で「~によって特徴づけられている」という意味で、次のように as it is が挿入されています。この as S V は前回の記事で紹介したものと同じ使い方です。

marked (as it is) by a vein of "diabolical cleverness"

as it is は「実際にそうされているように」が直訳ですが、前回と同様、やはり自然に訳すのは困難です。


「この曲は『悪魔的巧みさ』を呈しており
、その極めて高度な作曲技法自体に何か人間的なものを超越した雰囲気がある」