イギリスの文学批評家、文化理論家テリー・イーグルトンによる On Evil(2010年)から。
以下は、シェイクスピアの劇『オセロ』の登場人物イアーゴについての文章の一部です。cynic は「シニカルな人」、clown は「道化師」、debunk と deflate はここでは「人々の虚飾を風刺する」といった意味です。
Iago, like many a Shakespearian cynic, is partly a clown, reveling as he does in debunking and deflating.
Terry Eagleton, On Evil, p. 86
<解説>
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Iago, like many a Shakespearian cynic, is partly a clown, reveling as he does in debunking and deflating.
many a ~ で「多くの~」。reveling 以下は分詞構文。revel in ~ で「愉悦に浸って~を楽しむ」という意味で、次のように as he does が挿入されています。
reveling (as he does) in debunking and deflating
as he does は「実際に彼がするように」が直訳で、強いて言えば「劇中で見ての通り」に近い意味になります。分詞構文の中に as S V が挿入されることは割と頻繫にありますが、訳すのは難しい場合がほとんどです。
「イアーゴは(劇中で見ての通り)人々の虚飾を風刺することにこの上ない愉悦を覚える。この点でイアーゴは、シェイクスピアの劇に登場する多くのシニカルな人物と同様、道化師としての性質も持っている」