オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』から。


The Picture of Dorian Gray (Penguin Classics)
Wilde, Oscar
Penguin Classics
2003-02-01



ドリアン・グレイはたぐいまれな美しさを持つ青年で、この小説は彼の肖像画を画家が描いている場面で始まります。以下は、この画家が「ドリアングレイは自分にとって肖像画の単なるモデル以上の存在だ」ということを友人に伝える一節です。

Venetians は「ベネチア人」。Antinous は、ローマ皇帝ハドリアヌスの愛人となった美少年で、多くの芸術作品の題材となっています。



What the invention of oil-painting was to Venetians, the face of Antinous was to late Greek sculpture, and the face of Dorian Gray will some day be to me.  

Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray, p. 13


解説>







What the invention of oil-painting was to Venetians, the face of Antinous was to late Greek sculpture, and the face of Dorian Gray will some day be to me.

What the invention of oil-painting was to Venetians は C。全体は、

C, S1 V1, and S2 V2.

という形で、第2文型(VC)の C を主語の前に持ってきた倒置文です。


C, S1 was to late Greek sculpture, and S2 will some day be to me.

倒置を元に戻すと

S1 was C to late Greek sculpture, and S2 will some day be C to me.
(S1は後期ギリシャ彫刻にとって C だった。同様に、S2はいつの日か僕にとって C になるだろう)

to ~ は「~にとって」という意味です。


C の部分に相当する What the invention of oil-painting was to Venetians は「ベネチア人にとっての油絵の発明」つまり「それまでになかった新しい芸術を可能にするもの」を表しています。


What the invention of oil-painting was to Venetians, the face of Antinous was to late Greek sculpture, and the face of Dorian Gray will some day be to me.

「S1は後期ギリシャ彫刻にとって新しい芸術を可能にするものだった。同様に、S2はいつの日か僕にとって新しい芸術を可能にするものになるだろう」



「後期ギリシャ彫刻にとってアンティノウスの顔とは、ベネチア人にとって油絵の発明がそうであったように、それまでになかった新しい芸術様式を可能にするものだった。同様に、ドリアングレイの顔は、いつの日か僕をして、今までになかった新しい芸術様式を確立せしめるだろう」