英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2020年06月


仕事でフランスに住むことになったイギリス人の著者がフランスの文化を紹介する本 A Certain Je Ne Sais Quoi: The Ideal Guide to Sounding, Acting and Shrugging Like the Frenchフランス人のように話したり振舞ったり肩をすくめたりするための完全ガイド)から。


A Certain Je Ne Sais Quoi
Charles Timoney
Particular Books
2009-09-22



フランスでもほぼ毎晩テレビで映画が放映されるそうです。以下は、ニュースと天気予報の後に映画をやることは分かっていても、それが何時に始まるのかがいつも分からないことについての著者の記述です。




It is never clear what time the news will end, nor how long the following weather forecast will last. Then comes the longest series of adverts that you will ever have seen in your life before there can be any question of the film starting.  

Charles Timoney, A Certain Je Ne Sais Quoi, p.15


解説>







It is never clear what time the news will end, nor how long the following weather forecast will last.

「ニュースが何時に終わるのか、そして次の天気予報がどれくらい続くのかは常に不明です」


Then comes the longest series of adverts that you will ever have seen in your life before there can be any question of the film starting.

全体は the longest ~ in your life の部分を主語とする MVS の倒置文です。

「will have + 過去分詞」が使われていますが未来完了ではなく、この文における「S will have + 過去分詞」は、Sが過去に行った事柄についての話者の確信/推量を表しています

before の後の部分は、There is no question of ~(~の可能性はない)というフレーズを変形したものです。starting は動名詞で、the film は動名詞の主語。

「そしてその後には、あなたがこれまでの人生で見たこともないほど長いコマーシャルが延々と続きます。肝心の映画が始まる可能性がほんのわずかでも生じるのは、さらにその後なのです


以下は英英辞典から。

There was no question of his/him cancelling the trip so near the departure date.
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)

「出発の日がこれほど近づいている状態で、彼が旅行をキャンセルすることはあり得なかった」

代名詞が動名詞の主語になる場合、所有格と目的格のどちらも使えますが、所有格の方がフォーマルな表現です。


オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』から。


The Picture of Dorian Gray (Penguin Classics)
Wilde, Oscar
Penguin Classics
2003-02-01



貴族の青年ドリアン・グレイは、才能を持つ若くて美しい女優 Sibyl とお互いに激しい恋に落ち、婚約します。ドリアンは彼女のえも言われぬ演技に魅了されて、彼女が出演する舞台を毎日観に行きます。一方、Sibyl はそれまでシェイクスピアの様々な劇のヒロインとして全身全霊で演技に打ち込んでいたのが、自分自身が実際に恋をすることで、「演じる」という行為が急に空虚に感じられるようになります。そして、舞台の上でそれまで彼女が持っていた輝きを失ってしまいます。その様子を見たドリアンは失望し、彼女に冷たく別れを告げます。

ドリアンは、去らないでほしいと懇願する彼女を突き放して自宅に戻りますが、自室に置いてある自分の肖像画をふと見ると、そこに描かれている美しい自分の顔の口元に冷酷な影ができているのに気づきます。

以下は、Sibyl と別れたときのことを振り返るドリアンの様子を描いた文章の一部です。callousness は「冷淡さ」。




He remembered with what callousness he had watched her.  

Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray, p. 88


解説>







He remembered with what callousness he had watched her.

with what callousness he had watched her の部分全体が remembered の目的語として働いています。

what は疑問詞で、この疑問詞の節が始まるのは with から。what は with what callousness he had watched her という名詞節をまとめると同時に、自身の節の内部では、「どのような」という意味の形容詞として callousness(冷淡さ)を修飾しています。

with what callousness he had watched her で「どのような冷淡さでもって自分が彼女を眺めていたか」。with ~ は「~でもって」。


He remembered with what callousness he had watched her.

「彼は、自分がどのような冷淡さでもって彼女を眺めていたかを思い出した」



「彼は、(去らないでほしいと懇願する)彼女を自分がいかに冷淡に眺めていたかを思い出した」
 

この文には、この小説の他の多くの文と同様にかちっとしたフォーマルな響きがあります。with を文末において

He remembered what callousness he had watched her with.

としても意味は
変わりませんが、もっとカジュアルな感じになります。


ワインに関する多彩な情報を掲載しているウェブサイト VIOUS: Explore All Things Wine から。





今回は、このサイトの「Explore All Things Wine」というタイトルについて。

thing には少し例外的な使い方があり、「all things + 形容詞」で「~的なもの全て」という意味になります。ちょっと古風な感じのするフレーズです。

She loves all things Japanese.
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)

「彼女は日本的なものなら何でも大好きだ」
(古風な感じを表現できていないので、あまり良い訳ではありません)

タイトルの All Things Wine もこの用法です。新しい雰囲気のウェブサイトのタイトルにやや古めかしい all things ~ というフレーズが使われている点、そして、本来であれば形容詞が入る「~」の部分に wine という名詞が使われている、つまり wine を形容詞のように扱っている点が、このタイトルのちょっと面白いところです。



ワインに関する多彩な情報を掲載しているウェブサイト VIOUS: Explore All Things Wine から。





以下は、ドイツで2018年初頭に雨が多かったことを受けての記述です。vine は「ブドウの木」。



That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed, because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.  

https://vinous.com/articles/germany-2018-the-nahe-leading-by-a-nose-jun-2020


解説>







That wetness was to prove an enormous blessing in view of what followed,

「be + to不定詞」は、事前に決められていたことを表すのによく使われますが、この was to ~ は「~することになるのだった」という意味で、実際には後からしか分かり得なかったことを、物語やドキュメンタリーなどのナレーターの視点から読み手/聞き手に伝える用法です。

prove C で「Cであると判明する」、in view of ~ で「~を考慮すると」。


「後のことを考えると、この雨の多さは非常に大きな恵みだった」


because even in traditionally dry sites, enough water accumulated deep down to last most vines through the growing season.

to last ~ は「~するために」という目的を表す不定詞ではなく、enough と関連する不定詞。enough は不定詞を伴って「~するのに十分」という意味を表します。

この last は「(ある一定の期間)Oをもたせる」という他動詞の用法です。

「というのは、昔から乾燥しがちな土地においてさえ、ブドウが成長する間ほとんどのブドウの木をもたせるのに十分な水が地下に蓄積されたからである」


仕事でフランスに住むことになったイギリス人の著者がフランスの文化をユーモア溢れる筆致で紹介する本 A Certain Je Ne Sais Quoi: The Ideal Guide to Sounding, Acting and Shrugging Like the Frenchフランス人のように話したり振舞ったり肩をすくめたりするための完全ガイド)から。


A Certain Je Ne Sais Quoi
Charles Timoney
Particular Books
2009-09-22



以下は、著者の以前の同僚でカマンベールチーズ(Camembert)が大好きだったフランス人 Gaby について著者が語る一節です。wedge は「くさび形のもの」、a knob of ~ で「少量の~」。




[...], Gaby always ate his Camembert by cutting it into wedges and adding a knob of butter, a practice that I copied and still follow to this day.  

Charles Timoney, A Certain Je Ne Sais Quoi, p.193


解説>







Gaby always ate his Camembert by cutting it into wedges and adding a knob of butter, a practice that I copied and still follow to this day.

V O into ~ は通常、大きく分けて「Oを~の中に入れる」または「Oを~に変える」のどちらかの意味になります。cut O into ~ は「Oを~に変える」のタイプの方で、「カットすることでOを~の形に変える」という意味です。

cut it into wedges で「カットすることでそれをくさびの形に変える」つまり「それをくさび形に切る」。

「Gaby はいつもカマンベールチーズをくさび形に切ってバターを少しのせて食べていました」


Gaby always ate his Camembert by cutting it into wedges and adding a knob of butter, a practice that I copied and still follow to this day.

a practice that I copied and still follow to this day は同格で、ate his Camembert by cutting it into wedges and adding a knob of butter の部分を受けています。同格は、名詞を名詞で言い換える用法が最も一般的ですが、文の一部を同格で受けることもできます。

関係代名詞の that は、自身の節の内部では、copied と follow の2つの動詞の目的語として働いています。元になっているのは、

I copied O and still follow O to this day.
私はOを真似し、今日にいたるまで未だにOに従っています)

という文です。to this day で「今日にいたるまで」。


「Gaby はいつもカマンベールチーズをくさび形に切ってバターを少しのせて食べていました。これは私が真似して今日にいたるまで続けている習慣です(私はそれを真似し、今でもそうしています)」


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