英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2020年05月


以前にも紹介した Parker's Wine Bargains(邦題『ワインの帝王ロバート・パーカーが薦める世界のベスト・バリューワイン』)(2009年)から。





以下は、コルシカ島のワインを紹介する
文章の一部です。コルシカ産のワインには、その土地固有の品種など、様々な個性的な品種のブドウが使われているそうです。その主な品種の名前をひと通り挙げた後に以下の文が続きます。



It can safely be said that this cast of vine characters, together with the unique microclimates and fiercely proud local populace, make for a range of wines whose like will not be found elsewhere on earth [...].  

Parker's Wine Bargains: The World's Best Wine Values Under $25, p. 230


解説>







It can safely be said that this cast of vine characters, together with the unique microclimates and fiercely proud local populace, make for a range of wines whose like will not be found elsewhere on earth [...].

It は形式主語で、本当の主語は that 以下。It can safely be said that S V. で「SVと言って差し支えない」といった意味になります。

cast of characters は「演劇などを演じるキャスト」を表すフレーズです。この文では、コルシカのワインを作り出す個性豊かなブドウたちを、一緒に劇を演じるキャストに見立てています。

make for ~ は「~を可能にする/~を作るのに役立つ」といった意味の句動詞。

whose は wines を先行詞とする所有格の関係代名詞で、関係代名詞の節は whose から始まっています。元になっているのは、

~'s like will not be found elsewhere on earth.
(~に似たものは、地球上のどこにも見当たらない)

という文。
like はここでは「似たようなもの」という意味の名詞です。


It can safely be said that this cast of vine characters, together with the unique microclimates and fiercely proud local populace, make for a range of wines ←[whose like will not be found elsewhere on earth]

「この(個性豊かな)顔ぶれのブドウたちこそが、この土地独特の気候、そして非常に誇り高い島民と相まって、世界に類を見ないワインを作り上げていると言っても過言ではない」


次の例文の like も上と同じです。

It was a battle the like of which those present had never before witnessed.
(Longman Dictionary of Contemporary English)

関係代名詞の節が始まるのは the like から。先行詞は battle。元になっているのは、

Those present had never before witnessed the like of ~ .
(そこにいる人々は~に似たものをそれまでに見たことがなかった)

という文です。


It was a battle ←[the like of which   those present had never before witnessed].

「それは、そこにいる人々がそれまでに見たこともないような戦いだった」



オスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』から。


The Picture of Dorian Gray (Penguin Classics)
Wilde, Oscar
Penguin Classics
2003-02-01



以下は小説の冒頭部分で、画家が美青年ドリアン・グレイの肖像を描いている部屋の描写で始まっています




The studio was filled with the rich odour of roses, and when the light summer wind stirred amidst the trees of the garden there came through the open door the heavy scent of the lilac, [...].  

Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray, p. 5


解説>







The studio was filled with the rich odour of roses, and when the light summer wind stirred amidst the trees of the garden

and 以降は、the garden までが when の節で、主節が始まるのはこの後の there からです。

「アトリエはバラの豊潤な香りに満ちていた。そして、夏のそよ風が庭の木々の間を吹き抜けたとき」


there came (through the open door) the heavy scent of the lilac

これは MVS の倒置文で、VとSの間に修飾語句が入ったものです(Mは副詞的に働く部分)。There came S. で「Sが来た」。

「開け放されていたドアから、ライラックの濃厚な香りが漂ってきた」



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ボンドは事件の黒幕の正体を探るにあたって、黒幕についての情報を持っているとされる Valentine という人物に接触を試みます。以下は、Valentine の居場所にボンドを車で案内する人物が、目的地に到着した際にボンドに対して言うセリフです。




Valentine operates out of building 23 there.

GoldenEye  (00:55:47)


<解説>







Valentine operates out of building 23 there.

out of ~ は通常「~の中から外へ」を表しますが、operate out of ~ は「~を拠点として活動している」という意味で使われます。

Valentine はそこにある23号棟の建物を拠点にしている

この用法の out of は TOEIC の公式本で見かけたことがあるので、受験される方は覚えておくとよいかもしれません。似た意味で使われるものに be based out of ~ もあります。



今回は英英辞典から「be + to不定詞」を含む例文を紹介します。



(普通に単語を調べるだけであればオンラインで無料で使えます)


① 



She was to be here at 8.30 but she didn't arrive.  

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


② 


He was to regret that decision for the rest of his life.

(Oxford Advanced Learner's Dictionary)


解説>









She was to be here at 8.30 but she didn't arrive.

この「be + to不定詞」は「~することになっている」という一般的な使い方。事前に決められていたことを表しています。

「彼女は8:30にここに来ることになっていたが、来なかった」




He was to regret that decision for the rest of his life.

①と同じ was to ~ が使われていますが、こちらは少し違う意味で、事前に決められていたことを表しているわけではありません。実際には後からしか分かり得ないことを、物語などのナレーターの視点から読み手/聞き手に伝える用法です。

「彼は、その決断を一生後悔することになるのだった」



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以下は、英国諜報部の本部に到着した007に対して、秘書であるマネーペニーが言うセリフです。Mは諜報部のトップ、Situation Room は様々な機器を使って状況を分析するための部屋のことです。




M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

GoldenEye  (00:35:02)


<解説>







M will meet you in the Situation Room. I'm to take you straight in.

「be + to不定詞」は、ここでは「~することになっている」「~するように指示されている」というニュアンスで、自分がMから受けている指示の内容を伝えています。

take O in で「Oを部屋や建物の中に連れていく」。straight はここでは「どこかに立ち寄ったりせずに、このまま直接」という意味です。

「Mはシチュエーションルームでお会いになります。あなたをすぐに案内するように言われています


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