英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2019年07月


ミスター・ビーンで知られるローワン・アトキンソン主演のコメディ映画『ジョニー・イングリッシュ』から。


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以下は、前回の記事のセリフのすぐ後に続くセリフで、引き続き秘書の机の上にあるペンのことを言っています。以下のセリフにおいて、イングリッシュがペンの頭の部分を押しながら click it twice と言った瞬間にペンから弾丸のようなものが発射され、それが秘書に当たって秘書は倒れてしまいます。




Completely innocent to the untrained eye, but click it twice...

Johnny English (00:07:28)



解説>







Completely innocent to the untrained eye, but

「訓練を積んでいない目には完全に普通だけれども」

つまり

訓練を積んでいない人にはごく普通のペンに見えるけれども

the untrained eye(訓練を積んでいない)の the は「代表させる the」の用法です。「代表させる the」は、このように、「形容詞+名詞」の組み合わせにも使えます。

「代表させる the」の典型例は「play the + 楽器」。例えば、play the piano(ピアノを弾く)における the piano は「ピアノというもの」「ピアノという楽器」という意味で、世界中に無数に存在するピアノの個々の違いは考慮されません。



click it twice...

続くはずだったのは、and it shoots ~ のような語句。

click it twice (and it shoots ~ )

「2回押すと(このペンは~を発射する)」

click it twice は命令文で、and は「そうすると」という意味。中学校で習う「命令文+ and ~」(~しなさい。そうすれば~)という文と同じパターンです。




ミスター・ビーンで知られるローワン・アトキンソン主演のコメディ映画『ジョニー・イングリッシュ』から。


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以下は、イギリスの情報部に久しぶりに復帰した主人公イングリッシュが、上司の秘書の机の上に置いてあるペンを見て、秘書に言うセリフです。




Oh, reminds me of the old service issue ballpoint. I remember every agent would carry a pen that looked just like this.

Johnny English, (00:07:22)



解説>







Oh, reminds me of the old service issue ballpoint.

主語が省略されていますが、主語は秘書の机の上に置かれているペン。

「(このペンを見ると)昔情報部の支給品だったボールペンを思い出す」


I remember every agent would carry a pen that looked just like this.

この would は「過去の習慣」を表す用法です。

「情報部員は皆、これにそっくりのペンをいつも身に着けていたものだ」




ミスター・ビーンで知られるローワン・アトキンソン主演のコメディ映画『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』から。


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以下は、主人公イングリッシュの部下である Bough がイングリッシュに言うセリフです。2人は捕らえられ、鍵をかけた部屋に閉じ込められており、Bough はドアを何とか手で開けようとしています。





It's no good. It won't move, sir.

Johnny English Strikes Again, (00:23:06)



解説>







It's no good. It won't move, sir.

主語が2人称や3人称の場合、主節の動詞に will を使って主語の意志を表すことは通常できません。例えば、

She will ~

は、通常「彼女」の意志ではなく、話者の確信を表します。

しかし、will と異なり、won't は主語が2人称や3人称の場合でも主語の拒否の意思を表すことができ、

She won't ~

は文脈によって「彼女は~しないだろう」だけでなく「彼女は~しようとしない」という意味にもなります。

この「拒否の意思」の won't は、主語が物の場合にも使えます。上の won't はこの用法。

It's no good. It won't move, sir.

「ダメです。動きません(動こうとしない)」



ちなみに、第1文の It は「今、自分がしようとしていること」つまり「鍵をかけられたドアを手で開けようとすること」を指し、第2文の It は「ドア」を指しています。



ミスター・ビーンで知られるローワン・アトキンソン主演のコメディ映画『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』から。


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以下は、イギリスのスパイである主人公イングリッシュと、その部下であるタッカーとの会話です。タッカーは Ambrose という男の正体に気づき、イングリッシュに知らせますが、イングリッシュは Ambrose を信頼していてタッカーの言うことに耳を貸しませんでした。しかし、後になってタッカーが正しかったと気づきます。





English: We were right about Ambrose.

Tucker:  What do you mean "we"?
              You wouldn't listen, would you?

Johnny English Reborn, (01:06:45)



解説>







English: We were right about Ambrose.

「Ambrose についての我々の考えは正しかった」


Tucker:  What do you mean "we"? You wouldn't listen, would you?

would は様々な意味で使われますが、wouldn't には「過去のある時点における拒否の意思」を表す用法があり、上の wouldn't はこの使い方です。

「『我々』ってどういうことですか? あなたは私の言うことを聞こうとしてくれなかったじゃないですか」

この would の使い方は否定文でのみ可能です。肯定文で主節の動詞に would を使って「過去の特定の時点における意思」を表すことはできません。


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