英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2019年02月


アメリカのスパイコメディ『チャック』から。


CHUCK / チャック 〈ファースト・シーズン〉コンプリート・ボックス [DVD]
ライアン・マクパートリン
ワーナー・ホーム・ビデオ
2011-04-27



主人公 Chuck は家電量販店で働く普通の男性だったのが、ひょんなことからCIAの捜査に協力することになります。以下は、主人公 Chuck と彼の味方であるCIAの Sarah が、CIAに関するある重大な秘密を発見してしまったときに、Sarah が Chuck に言うセリフです。



No one can know about this. For your own safety, okay?

Chuck, Season 1, Episode 7  (00:37:38)


<解説>







No one can know about this. For your own safety, okay?

前半は直訳すると「誰も知ることはできない」ですが、「誰も知ってはならない」という意味のセリフです。

「このことは誰にも言ってはいけない。あなた自身の安全のために。いい?



アメリカのスパイコメディ『チャック』から。


CHUCK / チャック 〈ファースト・シーズン〉コンプリート・ボックス [DVD]
ライアン・マクパートリン
ワーナー・ホーム・ビデオ
2011-04-27



主人公 Chuck は家電量販店で働く普通の男性だったのが、ひょんなことからCIAの捜査に協力することになります。以下は、アメリカで誘拐された弟を探すためにアメリカに来たものの、弟を取り戻せずにいる中国人のスパイに、主人公 Chuck が言うセリフです。

They は Chuck の仲間であるアメリカの情報員のこと、defect は「亡命して敵側に寝返る」という意味です。



They agreed to help if you would just defect.

Chuck, Season 1, Episode 5  (00:20:00)


<解説>







They agreed to help if you would just defect.

if の副詞節の中では通常は will や would は使われませんが、これは例外で、この would は「意思」を表します。

「もし君がアメリカ側に寝返ってくれさえすれば(寝返る意思が君にあるならば)(君が弟を探すのを)手伝うと彼らは言った



前回の記事中の shinpads and boots に関連して、オックスフォード大学出版による、英語学習者向けの熟語の辞書から。





以下は上の辞書の例文です。




She devoted herself body and soul to this political cause.

Oxford Idioms Dictionary for Learners of English, p. 33




<解説>







She devoted herself body and soul to this political cause.

body も soul も名詞ですが、body and soul はここでは「全身全霊で」という意味の熟語で、副詞として働いています。

「彼女は、この政治的大義に全身全霊で献身した」



イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



ルーニーは試合で怒って物に当たり散らしたりする姿がよく取り上げられるため、普段も暴力的な人間なのではないかと思われてしまうそうで、以下は、近所のスーパーで奥さんと子供と普通に買い物をしていると、周りにいる客に驚かれてしまうことを嘆いている文章です。

文頭の they は、周りにいる買い物客のことです。kit は「装備一式」、shinpads は「すね当て」、in a massive strop は「激怒して当たり散らして」。



[...] they stare at me with their jaws open, like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.
  These are much cheaper down the road!
  I'm not like that though.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 30
(斜体と最後の2行の改行は原文の通りです)



<解説>







they stare at me with their jaws open の with は付帯状況の with。

「周りの人は驚いて口を開けて私を見つめる」


like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.

like はここでは as if と同じです。

should には「べき」と「はず」の2つの意味がありますが、ここでは無理にどちらかに決める必要はないと思います。

my kit, shinpads and boots の and が何を結んでいるかですが、shinpads(すね当て)と boots(スパイク)は kit(装備一式)に含まれることも踏まえて、3つを並列しているのではなく、shinpads と boots の2つを並列していると捉えるとよいでしょう。こちらの記事も参考になるかもしれません。

be in my kit, shinpads and boots は、「試合をするときの装備で、それも、すね当てとスパイクを含めたフル装備で」。

arguing ~ と kicking ~ は分詞構文です。


like I should be in my kit, shinpads and boots, arguing with the bloke collecting the trollies, or kicking down a stack of toilet rolls in a massive strop.

試合をするときの格好で、それも、すね当てとスパイクまで含めたフル装備で、カートを回収している店員と口論していたり、積み上げられたトイレットペーパーを激怒して蹴り崩したりしているのが、まるで私の本来の姿であるかのように(周りの客は、ごく普通におとなしく買い物をしている私を驚いて見つめる)


These are much cheaper down the road! はトイレットペーパーを蹴りながら言う想像上のセリフ。 down the road は「同じ通りのもっと先(にある店)では」という意味です。

「向こうの店ではトイレットペーパーをもっとずっと安く売っているじゃないか!」


I'm not like that though. は「でも、私はそんな人ではない」。

この後に、「自分は初対面では、もの静かで shy だ」という文が続きます。



引き続きワインの百科事典、『The Oxford Companion to Wine 』より。





以下は、前回の文(ジンファンデルというブドウの品種とプリミティーヴォという品種は実は同一のものだったことを述べる文)のすぐ後に続く1文です。that 以下の部分の役割に特に注意して読んでみてください。

ジンファンデルとプリミティーヴォ
は同じものですが、ジンファンデルはアメリカでの呼び名、プリミティーヴォはイタリアでの呼び名です。文頭の the relationship とは「ジンファンデルとプリミティーヴォの関係」つまり「その2品種の同一性」のことです。




The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

The Oxford Companion to Wine, p. 792



解説>







The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

sufficiently は「十分に」という意味ですが、「何がどうするのに十分なのか」を that節で表すことがあり、in the 1980s の後ろの that節はこの用法です。enough にもこの用法があります。


some were exporting their Primitivo labelled, ~ , Zinfandel

は、labelled, ~ , Zinfandel の部分をCとする第5文型(VOC)。この場合の第5文型は「OをCの状態でVする」で、「一部のイタリア人は、自分たちが作ったプリミティーヴォのワインを、ジンファンデルとラベルに書かれた状態で輸出していた」



The relationship had already been sufficiently acknowledged by the Italians in the 1980s that some were exporting their Primitivo labelled, in direct appeal to the American market, Zinfandel.

ジンファンデルとプリミティーヴォが同一の品種であることは、1980年代にはすでにイタリア人の間ではそれなりに知られていた。このため一部のイタリア人は、アメリカ市場に訴求するため、自分たちが作ったプリミティーヴォのワインを、(アメリカでの呼び名である)ジンファンデルという名前で輸出していた」


冒頭部分で過去完了が使われているのは、一部のイタリア人がプリミティーヴォをジンファンデルという名前で輸出していた「背景」を説明しているためです。



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