英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2018年12月


イギリスのサッカー選手ウェイン・ルーニーがプレミアリーグでの10年を振り返る本『Wayne Rooney: My Decade in the Premier League』から。


Wayne Rooney: My Decade in the Premier League
Wayne Rooney
HarperCollins Publishers
2012-09-01



以下は、「まだまだチームの優勝のために頑張りたい」という文章の後に続く文です。also-ran とは「敗者」の意味です。



And whatever I do, I do it to be the best that I can. I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

Wayne Rooney: My Decade in the Premier League, ペーパーバック版 p. 18



<解説>







And whatever I do, I do it to be the best that I can. I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

And whatever I do, I do it to be the best that I can の can の後には be が省略されています。

「そして私が何をするにしても、私はそれを、自分がなることのできる最高の選手になるためにする」

第2文の最後の will は未来を表すのではなく、前回と同様「現在の事柄についての推量」を表す用法です。

I'm not good at being an also-ran, as anyone who has played with me will know.

「私と一緒にプレイしたことのある人なら誰でも知っているはずだが、私は敗者であることに甘んじることのできる性格ではない」



以前取り上げた、スイス在住のイギリス人ライター Diccon Bewes によるスイスを紹介する本から。




今回はこの本のタイトル『Swiss Watching: Inside the Land of Milk and Money』についてです。これはユーモアのあるタイトルなのですが、それはなぜなのかを考えてみてください。


<解説>







英語には a/the land of milk and honey という聖書由来の言い回しがあり、「すべてが心地よく楽で、人々がとても幸せに暮らしている理想の場所」という意味で使われます。 上のタイトルの the Land of Milk and Money はこれをもじったもので、本には、スイス人はお金持ちだ、という話がでてきます。


再び、作曲家ヨハネス・ブラームスの手紙のコレクションに解説を加えた本、Johannes Brahms: Life and Letters から。

Johannes Brahms: Life and Letters
Johannes Brahms
Oxford Univ Pr on Demand
2001-09-27



以下は、ブラームスがどんな楽器の曲をよく書いたかについての、編者による解説の一部です。




Brahms's entire creative life follows a pattern of writing almost exclusively for musical combinations he is personally familiar with: [...] music featuring the cello or horn, both of which instruments he had played as a child. 

Johannes Brahms: Life and Letters, p. 419



解説>







Brahms's entire creative life follows a pattern of writing almost exclusively for musical combinations he is personally familiar with: [...] music featuring the cello or horn, both of which instruments he had played as a child.

both of which instruments he had played as a child の部分の構造がよく分からない場合には、which の品詞は何か、そしてwhich の節がどこから始まるのかに注意してみてください。







which は the chello or horn を先行詞とする関係形容詞で instruments を修飾しています。which がまとめる関係詞節は both から始まります。

both of which instruments he had played as a child の部分は、he had played both of these instruments as a child と同じような意味になります。

Brahms's entire creative life follows a pattern of writing almost exclusively for musical combinations he is personally familiar with: [...] music featuring the cello or horn, both of which instruments he had played as a child.

「ブラームスは自身の作曲家人生全体にわたって、自分自身が直接よく知っている楽器を組み合わせた曲のみをほとんど常に作曲した。[...] (例えば)チェロやホルンが活躍する曲。彼はこの2つの楽器の両方を子供時代に自ら演奏していた」


the cello or horn の the は「ものや人を代表させる the」で、くどく言えば「チェロという楽器やホルンという楽器」という意味になります。特定のチェロやホルンを指している
わけではありません。


作曲家ヨハネス・ブラームスの手紙のコレクションに解説を加えた本、Johannes Brahms: Life and Letters から。

Johannes Brahms: Life and Letters
Johannes Brahms
Oxford Univ Pr on Demand
2001-09-27



ヨハネス・ブラームス1860年代にドイツのハンブルグから、音楽の中心地であるオーストリアの首都ウィーンへ来ますが、すぐに現地でも重要な人脈を得て、またコンサートを成功させ、ウィーンでも名声を築きます。以下は、そのことについての編者の解説の一部です。Clara は作曲家シューマンの妻で、ブラームスの良き理解者であり、また彼が恋心を抱いていたと言われているクララ、Joachim は当時の高名なヴァイオリニストでブラームスの友人でもあったヨーゼフヨアヒムです。




No one was less surprised than Clara, who told Joachim that Johannes was extremely pleased with Vienna, 'which was only to be expected', [...]. 

Johannes Brahms: Life and Letters, p. 269



解説>







No one was less surprised than Clara, who told Joachim that Johannes was extremely pleased with Vienna, 'which was only to be expected', [...].

No one was less surprised than Clara は、「クララよりも少なく驚いた人はいなかった」つまり「クララほど驚かなかった人はいなかった」「クララはそれを誰よりも当然のことと受け止めた」という意味になります。

クララはそれを誰よりも当然のことと受け止めた。彼女はヨアヒムに次のように伝えている。ヨハネスはウィーンの状況に心から満足している。『それ(ブラームスがウィーンで成功し幸福であること)は(ブラームスの実力を考えれば)当然のことにすぎない』


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