英語の音いろ

映画、TVドラマ、洋書などの英語を、文法や構文そしてニュアンスの視点から解説します。

2018年09月


ハリーポッター第2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から。


ハリー・ポッターと秘密の部屋 [DVD]
エマ・ワトソン
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2014-07-16



以下は、魔法学校で主人公 Harry Potter のチームとライバル関係にあるチームのリーダー的存在である Draco Malfoy のセリフです。Malfoy は、Harry の親友でありチームメイトでもある Ron Weasley と彼の家族の魔法能力を低く見ており、彼らの悪口を言っています。

Harry と Ron が、Malfoy のチームメイトに化けて、Malfoy の悪口の聞き手になっています。pure-blood とは、魔法使いと一般人のハーフではなく、両親ともに魔法使いである人のことです。



You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

Harry Potter and the Chamber of Secrets  (01:22:36)


<解説>







You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave.

the way they behave は通常であれば「彼らの振舞い方」という意味で名詞として働きますが、ここでは「彼らの振舞い方から判断したら」「彼らの振舞い方を見たら」という意味を持ちます。先頭の You は「あなた」ではなく、「人々一般」を表す用法。

You'd はここでは You would の短縮形。will は「もし仮に」という何らかの仮定を受けると would に変わります。主語 You に含まれる仮定、そして「彼らの振舞いを目にしたならば」に含まれる仮定を受けて would が使われています。

the Weasleys とは「Weasley 家の人々」という意味。

the Weasleys were と be動詞の過去形が使われているのは、いわゆる「時制の一致」。You'd と先頭で過去形が使われた時点で「過去形の世界」に入り込んでいて、その後の動詞も過去形になっています。


You'd never know the Weasleys were pure-bloods, the way they behave. They're an embarrassment to the wizarding world. All of them.

「もし何も知らない人が Weasley 家の奴らの(魔法使いらしくない不器用な)振舞いを見たら、あいつらが純血種の魔法使いの家系だとは到底気づかないな。奴らは魔法使い界の恥さらしだ。一人残らずな」


ミッション:インポッシブル』第1作目から。





以下は主人公 Ethan が所属する部隊 (IM force) のリーダーである Jim に宛てられた、動画メッセージの一部です。Golitsyn という人物が重要なデータを盗みにくるはずだから、その窃盗の証拠となる写真を撮れ、という任務を指示するメッセージです。



Your mission, Jim, should you choose to accept it, is to obtain photographic proof of the theft, shadow Golitsyn to his buyer and apprehend them both. [...] As always, should you or any member of your IM force be caught or killed, the Secretary will disavow all knowledge of your actions. 

Mission Impossible  (00:05:25)


<解説>







Your mission, Jim, should you choose to accept it, is to obtain photographic proof of the theft, shadow Golitsyn to his buyer and apprehend them both. [...] As always, should you or any member of your IM force be caught or killed, the Secretary will disavow all knowledge of your actions.

if S should ~ で「もし(万が一)S が~したら」という意味になりますが、これと同じ意味を、

should S ~

で表すことができます(意味は同じですが、あらたまった表現です)。上の should you ~ はこの用法。

「ジム、君たちの任務は ー もし君がこの任務を引き受けるとすればの話だが ー その窃盗の証拠となる写真を撮り、Golitsyn を尾行し、彼とデータの買い手の両方を逮捕することだ。[...] いつもと同様、もし万が一、君や君のチームの誰かが捕まったり殺されたりしたら、君たちの行動への一切の関与を長官は否認する」



再び『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)から。予告編はこちら





以下は、遂行するべき任務を主人公 Ethan に指示する録音されたメッセージの一部です。would の役割を考えてみてください。



Normally, you and your team would be tasked with infiltrating and disrupting this terrorist network. But we have taken steps to ensure that this will not happen, because...

Mission Impossible: Rogue Nation  (00:08:31)


<解説>







Normally, you and your team would be tasked with infiltrating and disrupting this terrorist network. But we have taken steps to ensure that this will not happen, because...


Normally に含まれる「通常であれば」という仮定を受けて 助動詞の過去形 would が使われています。would のところまで見た時点で、文全体は「通常であれば、君と君のチームは~するところだ」という意味になることが分かるため、その時点で、後ろに but(しかし今回は) が続くことも同時に予想できます。

this terrorist network は disrupting だけでなく、infiltrating の目的語も兼ねています。

通常であれば、君と君のチームは、このテロリストネットワークに潜入し、それを崩壊させる任務を与えられるところだ。しかし我々は、そうならないように手を打った。というのは…」

本来は任務を指示するためのメッセージなのに変な内容で、聞いている Ethan
は怪訝な顔をします。


再び『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)から。予告編はこちら





主人公 Ethan はロンドンの支部で連絡員と会ったところで敵に捕らわれますが、その後脱出して、本部にいる仲間の Brandt に連絡を取ります。以下は、Ethan が Brandt に「ロンドンの支部が襲われた」と伝えた後に続く2人の会話です。



Brandt: Do you have anything to go on?

Ethan: A face.

Mission Impossible: Rogue Nation  (00:18:15)


<解説>







Brandt: Do you have anything to go on?


直訳すると「君は go on するための何かを持っているか?」。go on には「続ける」という意味もありますが、ここではその使い方ではありません。

on はここでは副詞ではなく前置詞で、on と anything の間には、「前置詞」と「前置詞の目的語」の関係が隠れています。go on ~ は句動詞として辞書にも載っていて、Oxford Advanced Learner's Dictionary では、

"to base an opinion or a judgement on sth"
(「意見や判断を~に基づかせる」つまり「~を判断材料にする」)


という定義になっています(sth は英英辞典で something を表します)。前置詞の on には「~に基づいて」という意味があるので、「~に基づいて進む」が go on ~ の基本の意味。上のセリフは「これから捜査していくにあたって判断材料にするものは持っているのか?」つまり「手がかりはあるのか?」という意味になります。


Ethan: A face.

「顔だ」ということですが、「名前などは分からないが、敵の顔は見た」という意味のセリフです。


『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)から。予告編はこちら







以下は、冒頭のシーンでの、主人公 Ethan の仲間であるBenji とBrandt の会話です。Benji はベラルーシのミンスクの空港の滑走路わきの草むらに隠れながら離陸準備中の軍用機を見張っています。Brandt は苛立った様子でアメリカの指令室から、Benji と無線でやり取りをしています。



Brandt: The package is on the plane.

Benji: Yeah, I know. We're currently formulating a plan B, although, technically, it's a plan C.

Mission Impossible: Rogue Nation  (00:01:25)


<解説>







Brandt: The package is on the plane.

ここで言うpackage とは「問題のもの」つまり「ブツ」という意味です。

「ブツはすでに飛行機に積み込まれてしまっている」


Benji: Yeah, I know. We're currently formulating a plan B, although, technically, it's a plan C.

We're ~ は、直訳すれば「我々は今、Plan B を練っているところだ」ということですが、これは別に「Plan B」という特定の作戦があるわけではありません。「Plan B」が特定の作戦ではないことは、前につけられている不定冠詞「a」が示しています。

plan B は単語として辞書にも載っていて、Oxford Advanced Learner's Dictionary では、

"the thing or things somebody intends to do if their first plan is not successful"
(最初の作戦が失敗したときにやろうとすること)


という定義になっています。plan B とは「最初の作戦が失敗したときの代替の作戦」という意味。plan C は辞書に載っている単語ではありませんが、ここでは「代替の作戦である plan B も失敗したときの、さらに代わりの作戦」という意味で使われています。


We're currently formulating a plan B, although, technically, it's a plan C.

「今、第2の作戦を練ってるところだ。正確に言うと(第2の作戦も上手くいかなかったので、今練っているのは)第3の作戦だけどね」



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